「パンドラの箱」
前回の音楽概説では音色について講義をしました。音色は「音の3要素」の1つですが、これは他の3要素「高さ」「強さ」と比較すると段違いに難解です。
何故「音色」についての理解が難解なのか。それは「音色」と言うパラメータが複数の要素の集合体であり、またそれぞれの要素自体がやや専門的な知識を要するからです。
音楽概説の授業は、音楽を専門にする学生の為の授業ではありませんから、専門的で且つ難解な事柄は基本的にスルーすれば良いのですが、厄介な事にこの「音の3要素」、なかなか避けては通れないのです。
毎年、この授業の前半約30分では、音楽の基礎的な講義(例えばト音記号の読み方etc)をするのですが、その際出てくる質問の返答にほとほと困ってしまうのです。何故なら、彼女達の質問の多くは基本的な内容に対する質問ですから、それを紐解くには当然ながら、より根源的な知識、原理的な知識が必要となってくるからです。そして、数学なんかもそうですが、原理の根本に切り口が及ぶと、本質的に理解できる人数が激減するんですね。特に音色に関しては、シンセサイザー等で実際に体験出来れば、何の苦も無く理解できるのですが、形而上で理解しろ、と言ってもかなり無理があるのです。
そういう事情もあり、毎年基本的な知識に対する学生の質問を見る度、「そんな事聞いてもいいの~?パンドラの箱が開いちゃうよ~」とか思ってしまうんですね。
しかし大学の授業ですから、「まぁ、あれだよ、そこんとこはあんまり難しく考えないで、いいかんじで覚えといて」とは言えません。大学生だから、理解できるはず!なんて思いながら、毎年ジレンマと闘いながら音色の講義に挑むのです・・・